こんにちは。本記事では『初診料』『再診料』について診療報酬を読んでいきます。
初めてかかった医療機関なら初診料、継続して通ってるなら再診料。簡単じゃないの?
はい。入社当時の私もそう思っていました。基本的にはその通りですが、厳密には違うのです。
診察料は診療報酬の第1章第1部、基本中の基本です。診察は必ず行うため、いずれかは必ず算定することになります。点数も大きく違いますので、基本診療料のルールを理解し、正しく算定しましょう。
初診料
診療報酬は第1章 基本診療料 第1部 初・再診料 第1節 初診料 A000初診料 の項目です。
初診料を算定できる場合は「医学的に初診」といわれる診療を行った場合、と通則に定義されています。
「で?」と思いましたか?私も思っています。「医学的に初診?具体的に述べよ」と、こんな気持ちだと思います。
例えばかぜの症状があり医療機関を受診して「かぜ」と診断されました。お薬がなくなったときに再受信したところかぜは治っている、と医師に判断されました。後日、またかぜの症状で受診しました。2回目の受診の時点では、かぜは治癒しているし、それ以外に診断をうけた疾病もないので、医学的に初診となり初診料の算定ができます。これが「医学的に初診」のイメージです。
初診料の種類
初診料の種類は以下があります。
No | 診療行為名称 | 点数 |
1 | 初診料 | 288 |
2 | 初診料(情報通信機器) | 251 |
3 | 初診料(同一日複数科受診時の2科目) | 144 |
4 | 初診料(同一日複数科受診時の2科目)(情報通信機器) | 125 |
基本的には初診料288点を医療機関で初めて診察を行った場合に算定します。新型コロナウイルス感染症によりオンライン診療が流行しましたが、情報通信機器を利用したオンライン診療での初診の場合は251点となります。
この251点は、厚生労働省が定めている施設基準に適合しているものとして厚生局に届け出を出している場合に算定できます。この例で言うと、オンライン診療を行うためのシステムや環境の整備、院内のオペレーションが確立しているか、などといったルール(施設基準)に適合していることを認めてもらってはじめて算定できる点数です。
初診料(同一日複数科受診時の2科目)は同一日に他の傷病について、新たに別の診療科を初診として受診した場合に算定できる項目です。
5 1傷病の診療継続中に他の傷病が発生して初診を行った場合は、それらの傷病に係る初診料は、併せて1回とし、第1回の初診のときに算定する。ただし、同一保険医療機関において、同一日に他の傷病について、新たに別の診療科を初診として受診した場合は、2つ目の診療科に限り144点(注1のただし書に規定する場合にあっては、125点)を、・・・
https://shirobon.net/medicalfee/latest/ika/r04_ika/r04i_ch1/r04i1_pa1/r04i11_sec1/r04i111_A000.html
はい。みなさん。ここからちゃんと説明しますので離脱しないでくださいお願いします(祈)
初診料(同一日複数科受診時の2科目)
例えば以下のような場合を考えます。
1)喉の痛みと倦怠感を感じ、わさびクリニック(診療科:内科)を初めて受診。かぜと診断された。 2)後日、階段で転んでしまい骨折が心配だったのでわさびクリニック(診療科:整形外科)を受診。幸い骨は無事で、打撲の診断だった。かぜも治っていないのに災難だ。
1)初診料(288点)が算定可能です。また、かぜと診断されたため傷病がつきました。
2)かぜと診断された日とは違う日に、整形外科を初めて受診しました。1)の内科医ではなく、整形外科医が診察をしてくれました。この場合は再診となり、初診料は算定できません。
これは、『1傷病の診療継続中に他の傷病が発生して初診を行った場合は、それらの傷病に係る初診料は、併せて1回とし、第1回の初診のときに算定する。』にあたります。
次に以下のような場合を考えます。
1)喉の痛みと倦怠感を感じ、わさびクリニック(診療科:内科)を初めて受診。かぜと診断された。 2)受診後、そのまま薬をもらいに薬局へ向かう途中、階段で転んでしまった。骨折が心配だったのでわさびクリニック(診療科:整形外科)を再度受診。幸い骨は無事で、打撲の診断だった。
1)初診料(288点)が算定可能です。また、かぜと診断されたため傷病がつきました。
2)かぜの診断を受けた日と同じ日に整形外科を受診しています。同日に、同じ医療機関で、1回目と違う傷病で、1回目と違う診療科で受診していますね。この場合、2つ目の診療科に限り、再診料ではなく初診料(同一日複数科受診時の2科目)(144点)が算定可能です。
これは、『ただし、同一保険医療機関において、同一日に他の傷病について、新たに別の診療科を初診として受診した場合は、2つ目の診療科に限り144点・・』にあたります。
※『(注1のただし書に規定する場合にあっては、125点)』は、初診料(同一日複数科受診時の2科目)(情報通信機器)(125点)です。
再診料
診療報酬は第1章 基本診療料 第1部 初・再診料 第1節 初診料 A001再診料の項目です。
再診料は再診の都度(同一日において2以上の再診があってもその都度)算定できます。同じ点数ですが、算定するケースにあわせて項目が複数用意されています。また、初診料と同様に、同一日に他の傷病について別の診療科を受診した場合は37点となります。考え方は同じですね。
また、1傷病の診療継続中に他の傷病が発生して初診を行った場合は再診料の算定となります。
No | 診療行為名称 | 点数 |
1 | 再診料 | 73 |
2 | 同日再診料 | 73 |
3 | 再診料(情報通信機器) | 73 |
4 | 再診料(同一日複数科受診時の2科目) | 37 |
5 | 再診料(同一日複数科受診時の2科目)(情報通信機器) | 37 |
まとめ
本記事では、初・再診料についてまとめました。いかがだったでしょうか?どのような場合に、どの点数がとれるのかイメージできていると嬉しいです。
- 初診料は医学的に初診、といわれる診療行為があったときに算定できる。
- 再診料は再診の都度算定できる。
次回はこれらの診察料に対して加算できる点数を解説していきます。
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